貸主から賃貸借契約を解除することが認められる基本的なパターン

家主の皆様の中には非常にマナーの悪い入居者に困ってらっしゃるかたもいるかと思います。もう、出ていってほしい。と思うこともあるでしょう。

借主からの契約解除(解約)は契約書条文にのっとって申し出から1~2か月後に解除できることが一般的ですが、貸主から賃貸借契約を解除したい場合(契約違反があった場合等)お互いの信頼関係が破断したと認められる程度の行為(債務不履行)がなければ解除できません。

では、どの程度のことがあれば、お互いの信頼関係が破断したと認められるのかをまとめてみます。

◆無断でのまた貸し(転貸)の場合

貸主への承諾のない転貸借は民法612条により禁止されています。また、契約書にも無断転貸は禁止と記載してあることが多いでしょう。

しかし、借主が貸主へ承諾なく貸室をまた貸ししていたとしても『賃貸人に対する背信行為と認めるに足らない特段の事情』があれば、解除することができません(最高裁昭和28年9月25日判決)

『賃貸人に対する背信行為と認めるに足らない特段の事情』とは、その貸室の使用の実態に大きな変化が無い場合のことで、具体的には①借主が税金対策のために別会社を作った場合②離婚により夫から妻に対しての転貸③建物のごく一部の無断展開、などは信頼関係の破断とは言えませんが、一般的な無断また貸しは信頼関係の破断があったと言えるかと思います。

契約解除の裁判をするには手間と費用も掛かりますので、時には、現実的な解決する方が経営判断としては正しい場合もありますので、よくよく考えて対策をしてください。

◆家賃滞納の場合

契約書に定められた賃料を支払わないということは、債務不履行にあたりますが、信頼関係の破断があったと認められるには3か月以上の滞納が一つの目安です。

◆騒音の場合

騒音問題は非常にむつかしい問題ですが『社会通念上通常の受忍限度を超えた騒音』を出した場合は信頼関係の破断とみなされ契約を解除できるとされています。

しかし、受忍限度を超えた騒音を出している入居者がいても、即契約解除できるわけではなく、まずは、入居者に対して、騒音を出すことをやめてもらう旨の通知を出すことが必要です。この通知は内容証明が望ましいでしょう。

それでも、事態が収まらない場合に初めて契約解除してもらえる状態になるということです。

『社会通念上通常の受忍限度を超えた騒音』とは行政が条例等に定めた『騒音に係る環境基準』を一つの目安にしてください。具体的には 『○○市 騒音 条例』などで検索すれば出てくると思います。

とはいえ、共同住宅では構造によって程度の差はあれ、ほとんどの物件できちんと生活していても、多少の生活音は聞こえるものです。騒音クレームに対してはきちんと現場確認を行い、中正公立にどちらに非があるかをきちんと確認しないといけません。

この問題も現実的に裁判をするには、騒音調査費用や裁判費用がかかりますので、問題行動をおこす人に対しても、コストパフォーマンスを考えて対処していきたいものです。

私も経験がないのですが、市販で売っている、騒音計でどの程度の騒音かを計測し、その状態をスマホ等で録画し発生源の方に対峙するというアイデアはどうでしょうか?

◆ゴミ屋敷

ゴミ屋敷問題は数こそ多くありませんが、不幸にもその境遇に遭遇してしまった大家の頭を悩ませる問題です。しかも、問題の根は深くゴミをため込んでいる入居者を退去させるのは非常に難しそうです。

調べた限りでは2年以上の長期にわたって、社会常識の範囲をはるかに超えるほど著しく多量のゴミを放置(東京地裁平成10年6月26日判決)という、とてつもなくひどい状態になって解除が認められた判例があっただけです。

最近は自治体の中にも、いわゆる『ゴミ屋敷条例』をつくっているところもあるので、そういった条例で対処できるように早く法整備が追い付いてほしいものです。

現実的な対応としては、こういうタイプの入居者は悪意があっての方ではなく、単にめんどくさがり屋が多いように思いますので、粘り強く指導し続けるしかないのかと思っております。

おわり

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