賃借人に突然、意思能力がなくなった場合

賃借人が交通事故・脳梗塞等で意識不明(いわゆる植物状態)になり、賃貸借契約について突然、意思決定することができなくなった場合の対処方法についてまとめます。

突然の事故が起きた場合、多くは契約者の家族から連絡があるかと思います。

『もう、意識の回復が望めないので、賃貸借契約を解除したい』など、契約に関する重要な決定を親族とはいえ契約者本人以外から申し出られた場合に、どう対処していいかわからないことも多いでしょう。

基本的に賃貸借契約の契約解除等は個人契約の場合は、契約者本人、法人の場合は代表者が行い、保証人はもちろん親族は意思決定することができません。(突然の事故の想定なので代理人の選任は無いものとします。)

『交通事故により植物状態になり意識回復の可能性は無い』と親族から言われれば、その状況に同情して、つい『そういうことなら』と本人不在のまま、契約事務手続きを行ってしまいがちです。

しかし、その情報が不正確であった場合等、良かれと思ってやったことが結果として裏目にでてしまうことも実務ではよくありますので、そういう時こそきちんとした手順を踏んでおきたいものです。

なんらかの理由で契約者本人が契約の意思表示ができなくなった場合、成年後見人の申し立てを裁判所に申し立てしてもらい、貸主は裁判所から選任された後見人と話を進めることになります。

悲しみに暮れる借主の関係者に対し、さらに、かなりの手間と費用をかけることになりますが、相手が極限状態だからこそ、きちんとした手順を踏んでおかないといけません。

それに、契約者本人が現に意思表示できないほど重度な昏睡症状であれば、その後の最悪の状況に備えるため、なるべく早めに弁護士等の専門家に相談するように促すのは、相手のことを考えても悪いことではありません。

家族の不幸によって、混乱状態になっている人に対しては、『まずは、法テラスの無料相談に行ってはいかがですか?』と伝えるのが良いかと思います。

契約者本人に身寄りがない場合は市町村長に成年後見人を選任することを頼むこともできるようです。

賃借人が亡くなってしまった場合の原則

もし、契約者が亡くなれば、その後の話は相続人と行います。

①賃借人死亡後の賃料支払は相続人が複数いる場合でも連帯債務となり、1人の相続人に全額請求することができる。(生前の未払い賃料がある場合は相続分に応じて負担となる。)

②賃貸借契約の解除は相続人が複数いる場合は、全員に対してしなくてはいけない。

上記が原則ですが、賃借人が亡くなった場合、遺族は精神的に落ち着いていることが多く、実務的には、トラブルにならない程度に柔軟な対応をしているところも多いでしょう。

借主が亡くなった後に、同居家族がその貸家に継続して住む場合は、権利関係の整理のため新たに賃貸借契約書を巻き直すことが多いかと思いますが、原状回復義務について、元の契約の原状回復義務を引き継ぐ旨を記載するのを忘れると、あとで損失を被ってしまうことになるので注意が必要です。

おわり

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